ミニ掛軸の作製方法
部屋に飾って絵や文字を楽しむために用いられる掛け軸の、ミニ版を作りました。
掛け軸つくりを通して、構造や各部の名称を学習する事が出来ました。
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ミニ掛軸つくりシートセット |
セットの中には、掛け軸シートと軸木と紐の3点が入っています。
掛け軸の主な部分の名称
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掛軸の名称 |
【巻緒】(まきお)
巻緒は、掛け軸をしまっておくときに用いられます。
【掛緒】(かけお)
掛緒は、掛け軸を掛けるときに用いられます。
※掛け軸の紐などに用いる、白・萌黄・紫などの色糸をまだらに組む紐の組み方を、啄木組(たくぼくぐみ)と言います。
【本紙】(ほんし)
絵画・書などを表装する本体をいいます。
【一文字】(いちもんじ)
本紙の上下につけたもので、金襴(きんらん)・銀欄など、上質の裂地(きれじ)を用います。
【中縁】(ちゅうべり)
中回し(ちゅうまわし)ともいいます。
軸の出来上がりは、この配合によるところが大きいです。
【天地】(てんち)
中縁の上下にあるもので、中縁よりやや質を下げた裂地で、無地の物を用いることが多いようです。
※一般に、一文字・中縁・天地は、別々の裂地で表装します。また、一文字・中縁・天地の順に、裂地の質を下げて表装します。
【風帯】(ふうたい)
本式の表装では、一文字と同質の裂地を用います。
【軸先】(じくさき)
軸端(じくばな)ともいいます。
用材に、象牙・紫檀(したん)・水晶・竹・陶器などがあります。
【軸木】(じくぎ)
掛け軸を巻き取る棒。
ミニ掛け軸の作り方
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ミニ掛軸つくりシート |
1. 掛軸の台紙をシートから切り取る
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掛軸の台紙 |
2. 「一文字」(いちもんじ)を貼る
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一文字 |
太い方が「上一文字」、細いほうが「下一文字」になる
3. 「柱」(はしら)を貼る
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柱 |
4. 「中回し」(ちゅうまわし)を貼る
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中回し |
太い方が「上部の中回し」、細いほうが「下部の中回し」になる
5. 「風帯」(ふうたい)を付ける
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風帯 |
6. 「八双」(はっそう)を作る
6-1.「八双」の下の線を内側に折って折り目を付けたあと、一度ひろげる
6-2.「切り込み線1」に沿って、きちんと折り目を付ける
6-3.[6-2]を開いて糊ノリを付けて、もう一度折り、しっかりと貼り付ける
6-4.「切り込み線2」に沿って、きちんと折る
7. 「軸木」(じくぎ)を付ける
7-1.「軸木」の上の線を内側に折って折り目を付けたあと、一度ひろげる
7-2.「竹ひご」に「巻きこみ部」を裏側へ巻き付けたあと、一度ひろげる
7-3.「巻きこみ部」の裏側にノリを付け「竹ひご」にしっかり巻き「軸木」とする
8. 「紐」(ひも)を付ける
8-1.「八双」の「折り込み線2」の裏側にある「紐穴」を千枚通しであける
8-2.「紐穴」に「紐」をとおし、結ぶ
8-3.「八双」の裏側にノリをつけ、紐と一緒にしっかりと貼り付ける
『ミニ掛け軸』の完成です。
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ミニ掛軸 |
真ん中の白い部分「本紙」に、絵や文字を描いて部屋に飾ることが出来ます。
豆知識・・・風帯について
中国では、風帯を「驚燕(きょうえん)」「払燕(ふつえん)」といいます。
ツバメは紙を恐れるので、画面に紙条を付けておくとツバメが近寄らないと言う事から、この名が付けられたと伝えられます。
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風帯について |
中国の文人たちが野外で絵を楽しんでいる図です。
ツバメが絵を汚すことが、あったのかも知れません。