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2012年11月14日水曜日

「十二単」装束の着用順序

十二単(じゅうにひとえ)


平安時代以降、宮中の女性が着用した装束の通称。
正式には五衣唐衣裳(いつつぎぬ、からぎぬ、も)、または女房装束(にょうぼうしょうぞく)という。
十二枚の衣を着用したわけではなく、時代や身分によって枚数や組み合わせは様々である。
ただし、女官たちは高位の身分の者に接する礼儀として、唐衣(からぎぬ)と裳(も)の着用は義務づけられた。
また、歩行は高床式の建物の内部、屋外の移動には牛車をもちいたため、裾の汚れをさほど気にすることがなく、裾を引きずるかたちである。


試着体験学習用「十二単」の着用順番


1. 袴(はかま)



2. 五衣(いつつぎぬ)



袍(うえのきぬ)・下襲(したがさね)・半臂(はんぴ)・単(ひとえ)・引倍木(ひきへぎ)の五種で一揃い。
ただし、この五衣は襟の部分だけを見せる比翼(ひよく)仕立てである。

3. 上着(うわぎ)



4. 唐衣(からぎぬ)



後身頃よりも前身頃が長く、袖幅が狭い衣装。
装束の中では最も豪華であり、裳とセットで着用される。

5. 裳(も)



飛鳥、奈良時代はスカートのような形であったが、歩行困難なことから、平安時代以降は前半分が省略されて後半分のみの着用となる。
唐衣とセットである。





2012年6月19日火曜日

シートを使ってミニ掛け軸つくり

ミニ掛軸の作製方法


部屋に飾って絵や文字を楽しむために用いられる掛け軸の、ミニ版を作りました。
掛け軸つくりを通して、構造や各部の名称を学習する事が出来ました。

ミニ掛軸つくりシートセット
ミニ掛軸つくりシートセット
セットの中には、掛け軸シートと軸木と紐の3点が入っています。


掛け軸の主な部分の名称

掛軸の名称
掛軸の名称
【巻緒】(まきお)
巻緒は、掛け軸をしまっておくときに用いられます。

【掛緒】(かけお)
掛緒は、掛け軸を掛けるときに用いられます。

※掛け軸の紐などに用いる、白・萌黄・紫などの色糸をまだらに組む紐の組み方を、啄木組(たくぼくぐみ)と言います。

【本紙】(ほんし)
絵画・書などを表装する本体をいいます。

【一文字】(いちもんじ)
本紙の上下につけたもので、金襴(きんらん)・銀欄など、上質の裂地(きれじ)を用います。

【中縁】(ちゅうべり)
中回し(ちゅうまわし)ともいいます。
軸の出来上がりは、この配合によるところが大きいです。

【天地】(てんち)
中縁の上下にあるもので、中縁よりやや質を下げた裂地で、無地の物を用いることが多いようです。

※一般に、一文字・中縁・天地は、別々の裂地で表装します。また、一文字・中縁・天地の順に、裂地の質を下げて表装します。

【風帯】(ふうたい)
本式の表装では、一文字と同質の裂地を用います。

【軸先】(じくさき)
軸端(じくばな)ともいいます。
用材に、象牙・紫檀(したん)・水晶・竹・陶器などがあります。

【軸木】(じくぎ)
掛け軸を巻き取る棒。

ミニ掛け軸の作り方

ミニ掛軸つくりシート
ミニ掛軸つくりシート

1. 掛軸の台紙をシートから切り取る

掛軸の台紙
掛軸の台紙


2. 「一文字」(いちもんじ)を貼る

一文字
一文字
太い方が「上一文字」、細いほうが「下一文字」になる


 

3. 「柱」(はしら)を貼る

柱


 

4. 「中回し」(ちゅうまわし)を貼る

中回し
中回し
太い方が「上部の中回し」、細いほうが「下部の中回し」になる


 

5. 「風帯」(ふうたい)を付ける

風帯
風帯

6. 「八双」(はっそう)を作る

6-1.「八双」の下の線を内側に折って折り目を付けたあと、一度ひろげる
6-2.「切り込み線1」に沿って、きちんと折り目を付ける
6-3.[6-2]を開いて糊ノリを付けて、もう一度折り、しっかりと貼り付ける
6-4.「切り込み線2」に沿って、きちんと折る

7. 「軸木」(じくぎ)を付ける

7-1.「軸木」の上の線を内側に折って折り目を付けたあと、一度ひろげる
7-2.「竹ひご」に「巻きこみ部」を裏側へ巻き付けたあと、一度ひろげる
7-3.「巻きこみ部」の裏側にノリを付け「竹ひご」にしっかり巻き「軸木」とする

 8. 「紐」(ひも)を付ける

8-1.「八双」の「折り込み線2」の裏側にある「紐穴」を千枚通しであける
8-2.「紐穴」に「紐」をとおし、結ぶ
8-3.「八双」の裏側にノリをつけ、紐と一緒にしっかりと貼り付ける


『ミニ掛け軸』の完成です。

ミニ掛軸
ミニ掛軸
真ん中の白い部分「本紙」に、絵や文字を描いて部屋に飾ることが出来ます。

 

豆知識・・・風帯について

中国では、風帯を「驚燕(きょうえん)」「払燕(ふつえん)」といいます。
ツバメは紙を恐れるので、画面に紙条を付けておくとツバメが近寄らないと言う事から、この名が付けられたと伝えられます。
風帯について
風帯について
 中国の文人たちが野外で絵を楽しんでいる図です。
ツバメが絵を汚すことが、あったのかも知れません。


2012年6月15日金曜日

甲冑飾りの着付け(よろい・かぶと体験)

戦国武将が身に着けた甲冑の着方


【甲冑】(かっちゅう)
戦いのとき身を守るために着用する武具。胴体を覆う甲(よろい)と、頭にかぶる冑(かぶと)。

伊達政宗モデル・甲冑
伊達政宗モデル・甲冑
鎧櫃の上に鎧立てを置いています。
【鎧櫃】(よろいびつ)
鎧を入れておくふた付きの箱。具足櫃。

伊達政宗モデル甲冑(鎧兜)の着付け順序


1. 臑当をつける

右足用、左足用がある。上の波線の低い方が内側、高いほうが外側になる。
紐は一周させて前で結ぶ。
伊達政宗モデル・臑当
伊達政宗モデル・臑当
 【脛当て・臑当て】(すねあて)
武具の小具足(こぐそく)の一。打物(うちもの)の類で薙ぎ払われることを防ぐためにすねを覆い保護するもの。鉄や革で作る。

2. 佩楯をつける

腰紐の一方を佩楯の下、もう一方を上に回して、紐を前で結ぶ。
太ももの後ろ側で紐を結ぶ。
伊達政宗モデル・佩楯
伊達政宗モデル・佩楯
【佩楯・脛楯・膝甲】(はいだて)
「はきだて」の転。
鎧(よろい)の付属具。小札(こざね)や鉄・革の小片、鎖などを綴じ付けた布地で、腰から左右の大腿部に下げ、草摺(くさずり)の下端からひざ頭までを護るもの。ひざよろい。

3. 籠手をつける

左籠手から先に身に着ける。
紐は脇の下で結ぶ。
次に右籠手を着ける。
伊達政宗モデル・籠手
伊達政宗モデル・籠手

【籠手・小手・篭手】(こて)
鎧(よろい)の付属具で、肩先から腕を覆うもの。袋状の布地に鉄金具や鎖をとじつけてある。
着装の順番:先に左の籠手を付け、次に右の籠手を付ける。

4. 胴をつける

肩の鞐(こはぜ)を留める。
脇の紐を結ぶ。
伊達政宗モデル・胴
伊達政宗モデル・胴

【胴】(どう)
鎧(よろい)または剣道の防具で、胸部と腹部とを覆う部分。

5. 袖をつける

伊達政宗モデル・袖
伊達政宗モデル・袖

【鎧袖】(がいしゅう)
よろいのそで。


6. 刀帯を結ぶ

帯は上から下、下から上へ通して留める。
伊達政宗モデル・刀帯
伊達政宗モデル・刀帯

【刀帯】(かたなおび)
剣をさげるのに用いる。帯刀する為の腰紐。

7. 面頬をつける

面頬の位置は紐で調節する。
※よろい・かぶと体験の場合は省略
【面頬・面布・面方】(めんぽお)
武具の一つで、顔面保護の防御具。目の下頬当て・頬当ての類をいう。

8. 甲をかぶせる

長い紐を顎の下で一度結う。
紐を耳のところにある輪に通す。
唇の下の顎のところで紐を結び整える。
顎紐の結び方は蝶結びで構わない。
伊達政宗モデル・甲
伊達政宗モデル・甲

【兜・冑・甲】(かぶと)
武将が頭部を防護するためにかぶった武具。頭を入れるところを鉢(はち)、その下に垂れて頸部(けいぶ)を覆う部分を錏(しころ)といい、鉄や革などで作る。


山本勘助モデル甲冑(鎧兜)の着付け


山本勘助モデル・甲冑
山本勘助モデル・甲冑


1. 臑当をつける

右左がある、革のある方が内側になる。

2. 佩楯をつける

腰紐を佩楯の裂け目に通し、佩楯の下で結ぶ。
太ももの後ろ側で紐を結ぶ。

※以降は伊達政宗モデルと同様


一橋茂栄モデル甲冑(鎧兜)


一橋茂栄モデル・甲冑
一橋茂栄モデル・甲冑

ミニチュアの重さは、10kg位です。

【一橋 茂栄】(ひとつばし もちはる)
高須藩第10代藩主・松平義建の五男。
徳川 茂徳(とくがわ もちなが)、松平 義比(よしちか)、徳川 茂徳、玄同(はるあつ)などの名乗りがある。
一橋徳川家第10代当主、尾張藩第15代藩主、幕末の高須藩第11代藩主。
一橋徳川家・系図
一橋徳川家・系図